いなぞうさん(男性・28歳)の合格体験記
1.自己紹介
はじめまして、いなぞうと申します。私は企業に勤務した後、退職して公認会計士試験合格を目 指しました。受験中に自分が感じ、最終的に間違っていなかったと思うことを書こうと思います。 受験生の皆様のお役にたてれば幸いです。
・受験回数 2回
・受験開始時年齢 25歳
・合格時年齢 28歳
・予備校 2008年目標TAC(2年本科)、2009年目標大原上級本コース
・受験歴 2008年短答落ち、2009年短答・論文合格
・公開模試の順位
2008年TAC第1回全答練 2000番台(D判定)
2008年TAC第2回全答練 2000番台(D判定)
2009年大原全国模試100番台(B判定)
2.勉強法総論
巷では最難関の国家資格といわれる公認会計士試験ですが、受験してみて思うのは、内容的には 難解なものはなく、どうにもならないほどの試験ではなかったということです。ただ、学習量が 非常に多いため、講義が終わる都度、復習を済ませる姿勢が重要です。
復習を効率的に行うコツは、「講義を集中して聴くこと」「講義のあった日のうちに済ませること」です。講義を集中し て聴けば聴くほど、自分で読み解く量が減り、復習の負担が減ります。また、あまり日をおくと 内容を忘れてしまいますので、復習は必ず講義のあった日のうちに済ませましょう。
3.勉強法各論
これは個人差があると思いますので、私の勉強法を紹介させていただきます。あまり、絶対視 せず、参考程度に考えてください。
≪財務会計論≫
計算(簿記)は、テキストを繰り返し読み、例題を解くというスタイルを貫きました。答錬を ひたすら繰り返すような勉強はほとんどしていません。個人的には、答練を繰り返し解くのは時 間をとられてしまいますので、やめたほうがいいと思います。答練の問題もほとんどがテキスト から出るわけですから、答練は弱点発見する場として利用すればよいと思います。
理論(財務諸表論)も、テキストを繰り返し読みました。基準の読み込みは少し参照する程度 には行いましたが、あまり力は入れず、テキストの内容を固めることを優先しました。
≪管理会計論≫
学習量があまり多くない科目ですので、受験期間の前半である程度仕上げてしまえば、あとが 楽だと思います。基本的なスタイルは財務会計論と同じです。理論については、バリエーション が多すぎるので、すべてを追うようなことはせず、テキストに載っている内容は確実に書けるよ うにし、答練で出てきた内容は眺める程度でした。
≪監査論≫
私はあまり得意ではありませんでした。答練も平均点前後をウロウロしていたと思います。 勿論、テキストに載っている内容はできるのですが、実務的な内容になってくると、勉強時間と 得点が比例しなかったように思います。
≪企業法≫
得意科目でしたが、最初は馴染むのに時間がかかった記憶があります。企業法で学習する会社 法の内容は、民法や商法の上にある特別法であるため、一般原則と呼ばれるような土台部分(法 律の世界の暗黙の了解的な内容)を前提にして理解しなければならない箇所が結構あります。そ のため、一度読んだだけで理解できる内容が少ないので、時間がかかるのです。
「計算を先に仕上げ、理論はあとまわし」という言葉がありますが、殊に企業法については、入 門期から気合を入れ、時間をかけて勉強する必要があると思います。
≪租税法≫
得意科目でした。これも簿記と同じ、テキストを繰り返し読み、問題集の問題を解くというス タイルです。論文式試験のみの科目であるため、予備校の授業開始時期も遅く、短答受験者の方 はあとまわしにしてしまいがちかもしれませんが、学習量は簿記に匹敵する科目です。勉強には 膨大な時間がかかりますので、あとまわしにすると痛い目にあいます。講義が始まったら遅れず についていくことが大切だと思います。
≪経営学≫
私は大原に通っていたので、大原の講師に言われたとおりの勉強法でした。ファイナンスの論 点は、講義後すぐに復習し、早い段階で理解するようにし、その他の論点は論文式試験の直前1 カ月で暗記しました。大原のテキストは非常によくできていると思いますので、このテキストの 内容をおさえておけば、本試験で合格点がとれるようになると思います。
4.本試験について
ここでは、本試験に向けたアドバイスを書こうと思います。
短答式試験は、試験から発表までの間に1カ月近くの待機期間があり、受験生の間では合格点の 噂が飛び交います。このとき、60%台の得点をとった受験生は、噂に振り回されてしまいがちで す。したがって、この1ヶ月間を集中して論文式試験への勉強に充てるためにも、短答式試験で は70%以上を得点することが大事です。
70%をとるためには、配点の一番高い財務会計論を得意にすることが重要なのはご承知のとおり ですが、さらに地盤を固めるために、企業法をしっかり仕上げるとよいと思います。財務会計論 や、監査論・管理会計論のような制限時間に追われながら電卓を叩く科目とは異なり、企業法は 制限時間を気にせず解ける科目です。落ち着いてできる分、ミスも少なくできると思いますし、 企業法で貯金をつくれれば、その後の科目にも精神的な余裕が生まれると思います。
次に、論文式試験についてです。論文式試験は、突出した成績をとらなくても、すべての科目 で満遍なく、平均点を少し上回る得点を積み上げることができれば合格できます。予備校で学習 した内容さえ完璧にしておけば、他の受験生に差をつけられることはなくなりますので、答練で 上位を狙うよりも、平均点を意識した学習を心がけてください。
ここで、私が論文式本試験で感じたことを書きます。多くの受験生は「論文式本試験では見たこ ともない論点が出題される」という言葉を聞いたことがあると思います。実際、2009年度の本試 験においてもそのような問題は出題されているのですが、その傾向は科目によってばらつきがあ るように感じられます。つまり、予備校の答練で見慣れた内容が出題されるそっくりな科目と、 そうでない科目があるということです。
まず、答練とそっくりな科目ですが、企業法と租税法で す。これらの科目は、普段の答錬の成績が本試験の成績に直結する可能性が高いので、得意科目 にするとよいと思います。そっくりでない科目は、監査論や会計学が挙げられると思いますが、 基礎的な問題は丁寧に記述して確実に得点し、応用的な問題は知っている知識を使って論理展開 し部分点を狙うような姿勢がよいと思います。
5.おわりに
拙い文章ながら読んでいただき、ありがとうございました。
論文式試験が終わるとすぐに就職活動がスタートします。アドバイスとまではいきませんが、話
す内容よりも、話し方に意識をおいてみてください。話す内容は準備している方が多いのですが、
意外に、面接官に与える印象で差が付いてしまうのはそういう部分だと思います。