KAITOさん(男性・23歳)の合格体験記
自己紹介
はじめまして、KAITOと申します。
合格発表から2週間が経過し、徐々に合格の実感がわいてきたので、遅ればせながら今の自分
の気持ちを合格体験記として留めておこうと思い執筆を決意しました。
まず、自分の会計士試験の戦歴は以下のようになっています。
2007年 短答式試験合格→論文式試験不合格(科目なし)
2008年 論文式試験不合格(科目なし)
2009年 論文式試験合格
以上より、私は短答三振がかかった3回目の受験にして無事に合格することができました、支 えてくださった皆さんに感謝すると共に、今は安堵感を感じています。
ただ、ご覧になればわかるように2007年、2008年と合格者が増大した年に、論文式試 験では科目合格すらとれず玉砕しています。まず2007年はもとより短答合格に特化しており 論文の対策を行っていませんでした。しかし、2008年は短答合格のアドバンテージを持ち、 1年以上論文対策に特化を行ったにもかかわらず結果が得られませんでした。これは勉強をした つもりになっていて本当にやるべきことから逃げいた自分の精神的な甘さが原因でした。そして、 2009年はそんな自分の甘さを反省し、勉強方法や生活習慣を見つめなおした結果、成績も飛 躍的に伸び、無事合格することができました。
ということで、私の体験記は主に短答免除をして論文対策に特化する方、次回短答の三振がか かっている方に参考になればと思います。
具体的な勉強方法について
私は専門学校としてTACを選択していました。理由としては、受験者の母集団が大きいため本 試験で取らなければいけない問題を網羅することができる、論理的に講義を進めていくため論点 を暗記というより理解して覚えられる、といったことが挙げられます。
全科目を通して意識したこと
2009年に科目全体を通して意識した勉強方法としては、答練で苦手科目、苦手論点をつく らず全科目、全大問で平均点をとるということでした。つまり、勉強時間を苦手科目、苦手論点 に時間を割くようにしました。というのも、論文式試験は大問毎の得点比率で合否が決定される ため、1つの科目でミスっても1つの科目で稼いで帳尻をあわせるという戦略より、全科目全大 問で平均ちょい上をとる戦略の方が効果的と講師の方に教えられたからです。
実際にその意識を持って答練を受けることで、問題の取捨選択能力もつきましたし、また、高 得点を狙う必要が無い、平均点とればいいという気持ちで精神的にも余裕を持って問題を解くこ とができました。その結果、飛躍的に成績を伸ばすこともできました。
監査論
監査論の勉強方法としては、テキストやレジュメを何度も繰り返し見直して、理解するところ は理解する、重要な文言は暗記して吐き出せるようにするという方法を行っていました。ただ、 漠然とテキストを読んでいると猛烈な眠気が襲ってくる科目であったため、メリハリをつけて読 むように自分なりに工夫していました。苦手論点だけ集中して読んで理解してる論点は流し見程 度で済ます、レジュメの間に答練を挟み込んでインプットとアウトプットを同時におこなえるよ うにする、といった感じです。法令基準集は、どこにどんな文言が書いてあるかだけザックリ覚 えておく程度に済ませておき、そんなに頻繁に用いることはしませんでした。
租税法
計算は答練で間違えた苦手論点を重点的に何度も繰り返しおこない、また、一度はできたと思っ た問題もど忘れを防ぐために1ヶ月に1回くらいのペースで解いていました。
理論は理論テキストを繰り返し読み込み、その際法令基準集から根拠条文を引けるように訓練 を積んでいました。
また、勉強の優先度としては法人計算→消費計算→所得計算・理論全般としていました。特に 所得の計算に関しては、所得の理論と並行して行うことで理解が深まったと思います。
財務会計
計算はやはり、租税と同じように苦手な答練を繰り返し解いていました。その際に、個別論点 で苦手な答練→連結で苦手な論点→企業結合、事業分離で苦手な論点、というように計算分野ご との苦手論点の答練をローテーションして解いていました。
理論はテキストベースで読み込みを行いました。その際、結論の背景の文言を特に意識して理 解することを心がけていました。法令基準集の使用法は監査論と同様です。
管理会計
計算と理論の関連付けを最も意識して行った科目です。計算はやはり答練をベースに解いてい ましたが、この科目に関しては苦手論点を潰すことを意識しつつも、基礎力を徹底的につけてい くことを特に意識しました。
管理会計の恐いところは、問題の指示次第で計算方法をイレギュラーにできること、および、 ひとつの計算をつまづくと連鎖的にその後の計算も間違えてしまうことです。実際に2008年 の本試験は管理会計のドツボにハマリ無残な結果に終わってしまいました。2009年は、イレ ギュラーに対応できるのはレギュラーを理解することが近道であると教えられ、基礎力の重要性 を再認識し、基礎力をつけることに専念しました。結果的にこれが功を奏しました。
理論はとっつきずらい印象がありますが、計算と並行して行うと理解が深まりました。計算で 出した数値の意味を理論的に考えたり、なかなか理解できない理論があったら計算の観点からア プローチしてみたりするなどしました。実際に理論と計算を関連づけて覚えると理解が深まり、 記憶にも残りやすかったと思います。
企業法
答案構成を意識して問題集や答練中心のアウトプット重視の勉強を行いました。もちろん、そ の前提としてインプットがある程度進んでいる必要があります。問題文を読んで条文を使いなが ら答案構成を書く、もしくは思い浮かべる。それを何度も繰り返し、答案構成の時間を短縮して いく。書くべき論点を反射的に思い浮かべることができるレベルを目標に勉強を続けました。
また、本試験では大問毎の答案の取り違いには十分気をつけました。笑い話のようなミスかも しれませんが毎年何名か出るミスであり、だからこそ慎重になりました。
経営学
ファイナンス計算に関してはあまり手を広げず、基本的なことをしっかり潰していきました。 特に小数点や単位の取り扱いに気をつけていました。戦略論に関しては、講師の方がおっしゃっ た重要度の高い順に潰していきました。戦略論は費用対効果の観点からもどこまでやればいいの か中々難しいとは思いますが、そういうときこそ、信頼できる講師の方のアドバイスを信じて最 後までやりきることが最善の結果につながると思います。
全体を通して要約すると、
・苦手科目、苦手論点をつくらない。科目・大問でコケなければ合格できる。
・みんなができるところをしっかり取る。問題の取捨選択能力は日頃の答練で養う。
・最後は意地。
おわりに
2008年度の試験、短答免除のアドバンテージを持ちながら一科目の免除も取れないまま不 合格に終わり、さらに史上最大の合格者数、合格率という情報がすべてのネガティブ要因となっ て自分に降りかかり、どん底に突き落とされました。
そんな中どん底の私を救ってくれたのは自分を支えてくれた方々の温かい言葉でした。家族に はいつまでも応援するからと励まされ、合格した受験仲間には先に待ってるから絶対這い上がっ て来いよと激励されました。どん底にいるときこそ、自分を客観的に見つめなおしそれを糧に成 長できるチャンスがあるものと思います。
そして、悔しさをバネにして自分なりに成長を遂げ、2009年度の試験には無事に合格でき ました。家族、友人、講師の方々など、様々な方の支えがあったからこそ手にできた合格であり、 支えてくださった皆さんには感謝の念がつきません。
どんなに逆境にいようとも決して最後まで諦めなければ必ず結果がついてきます。この体験記
が少しでも受験生の皆さんの参考になれば幸いです。私の稚拙な文章に最後までお付き合いくだ
さりありがとうございました。