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SIGEさん(男性・27歳)の合格体験記

はじめに

私は2009年の公認会計士試験において、幸運にもゼロから1年3カ月で短答式、論文式試験の一 括合格をすることができました。私の体験が皆様のお役に立てばと思いますので、僭越ながら体 験記を書かせていただきます。

私は現在27歳で、大学を卒業後、一般企業の営業職に就いていました。優秀な高校や大学を卒 業したわけでもなく、理系で営業職に携わっていたので、ごく普通の人といえるバックグラウン ドをもっているのではと思います。

受験期間中お世話になっていた予備校はクレアールです。 仕事は非常に忙しかったので、2008年5月に退職し、6月1日から簿記の勉強を始めました。会計 士試験に通じる知識を持っていたとすれば、予算編成をしたことぐらいでしょうか…全くの会計 素人であり、まずは簿記2級からのスタートとなりました。

クレアールは簿記2級→1級→会計士 講座と進みます。実際には勉強を始めた時点でカリキュラムに遅れをとっていたので、当初から 勉強時間を8〜10時間確保し、追いつくように3時間のDVD講義を倍速で1日2,3コマずつ消化し ました。

はじめの頃の成績は伸び悩みましたが、答練やテキスト、問題集を4、5回回転させながらDVD を消化し、10月頃にはカリキュラム的にも、成績的にも会計士講座に追いつくことができました。

その後も各科目の教材を何回転もさせることを基本的な勉強スタイルとしていきますが、この 受験勉強の中で私の得点源となった財務会計について詳しく書かせて頂こうと思います。

財務会計を得点源にする方法

私は器用貧乏なので、はじめから得意科目を作るという戦略より苦手科目を作らないという戦 略をたてて勉強をしていました。そのため財務会計を得意科目にしようとは思ってもいませんで したし、今でも得意科目とは思っていません。そればかりか、沢山の周りの受験生が財務会計で 苦しんでいるのを見て、私も最低限の点数を取れればいいやと思っていました。

しかしながら、短答式試験・論文式試験ともに時間配分・精度ともに一番安定的にできたと思え たのです。これは社会人経験者としてのある程度の分析能力と、近頃の試験の傾向がマッチしたことが大き な要因ではないかなと考えています。

以下、具体的な方法について書かせて頂きます。ちなみに勉強方法は人それぞれなので、参考程 度の気持ちで読まれることをお勧めいたします。

簿記

テキストや問題集で一通りインプットを終えた後は答練をひたすら繰り返していました。クレ アールの場合、テキストに対して答練の難易度が非常に高いと思います。そのため平均点は半分 以下。私も初めのうちは200点中40点など、散々な点数をとっていましたが、なんども問題を解 くうちに「解き方」を判断できるようになっていったと思います。

簿記は基本的に決算整理前残高試算表や個別財務諸表からそれぞれ個別F/S、連結F/Sを作成す るように、問題としての流れがあります。与えられた数値や指示に対して、たくさんの処理を行 い最終的な数値を計算していくため、1つ処理を間違えれば2・3個の回答欄にバツがつく可能性 があるのです。そのため、どことどこが繋がっているの?と意識しながら問題を解くことは得点 アップのためにはとても重要なことだと思っています。

具体的な例として貸倒引当金。これは売上債権残高等に対して、貸倒実績率によって計算した金 額を設定します。計算の流れから、貸倒引当金は売上債権がきちんと処理出来ていなければ算出 できないのです。そして売上債権は一般商品販売や特殊商品販売といったメインの論点が絡むこ とが多くなります。結果として、貸倒引当金を算出することは難易度の高いものとなっている可 能性が高いのです。

これらを勘案すると、貸倒引当金ははじめから狙う論点ではないと考えられます。
ただし、逆に言えば、商品販売の論点がきっちり解けたとすれば、次に貸倒引当金の処理を行 うべきでしょう。

個別の論点に関しても、このような考え方は適用可能です。ストックオプションの処理は株式報 酬費用や新株予約権といった勘定科目がメインとなり、これらはいくら複雑でもストックオプショ ンの処理で算出可能です。
しかしながら、資本金や資本剰余金という勘定は自己株式や新株発行、 DESの処理と絡み合うことが考えられるため、問題を解いているなかで、まず狙うべきところは 株式報酬費用や新株予約権勘定といえると思います。

つまり、流れを考えることによって、

@ まず行うべき処理
A @が解けたなら次に行うべき処理
B @が解けない場合に行うべきでない処理
C すでに行った処理と関係のない処理

を明らかにすることができるのです。 流れを考えることによって簿記の総合問題を細分化することが可能となります。

この方法のおかげで、私は09年論文式本試験の連結キャッシュフローは簡単に算出できるものの み、12問中9問を20分で算出することができ、合格に大きく貢献しました。

財務諸表論

財務諸表論の試験傾向は近年、より思考力を問われる形式に変化していると実感します。会計基 準や結論の背景を暗記するだけではなかなか対応できないのではないでしょうか。かといって、 実務的な問題を考えることは枝葉末節に手を伸ばすことになり、効果的な勉強方法とは言えない と思います。そのため私は、そのまま出題されるとは思わないながらも、徹底的なテキストの暗 記を行いました。

暗記をしながら、始めはこの科目の思想と、会計基準の構成を理解するように努力しました。 理解するに当たって注意すべきことは会計基準が帰納的な原則であることだと思います。会計基 準は慣習の中で、これが一番妥当なんじゃないか?という考え方で導き出してきたものであるは ずなので、各会計基準に共通するような大元となる考え方は存在しないと考えるべきではないで しょうか。(概念フレームワークは事後的なものですよね。)

実際勉強中は受験仲間から質問されたり、質問したりしましたが、答えられないものは非常にた くさんあります。勉強を進める上で不必要に「なんで?」「この考えの根拠は?」と問い詰めな いことが実は短期合格のカギであるように思います。

そしてやはり簿記を解いているときに理論との接点を意識するべきだと思います。仕訳の趣旨を 聞くような問題は今後も出題が予想され、これに対応するには簿記との融合を図るべきです。そ のため、いかに本試験で計算問題の比重が低下しているとしても、簿記の計算問題をやりこむこ との意義は大きいと思います。

最後に暗記した知識の活用方法を紹介します。理論問題に全般的に言えることですが、勉強した ことがそのまま本試験に出題されることはそうそうありません。つまり、暗記した知識を問題形 式に即してアウトプットする技術が必要になります。普段、答練などでアウトプットの練習をし ているとは思いますが、それだけでは明らかにアウトプットの練習が少ないと思います。

そのため私はある程度暗記を終えた短答式試験後、結論の背景や答練から問題文を作成し、なる べく簡潔に答えをまとめ、問題文と答えをセットにしてさらに暗記ということを繰り返しました。 問題文を作成した次の日に何も見ないで答えを書き込み、自己採点をするという流れでアウトプッ トの練習を行っていたのです。

このような勉強方法と考え方で、09短答式本試験では理論で約9割の得点ができ、論文式本試験 でも明らかにアドバンテージを取れたと思っています。

私は上述した財務会計以外はごく普通の出来で、私より良い成績の方の方が多いと思います。し かしながら、この会計士試験において財務会計は非常に大きなウェイトを占めているので、これ を味方にすることは合格可能性を引き上げることにつながると思います。

おわりに

今回の試験で私が合格したことは会計知識ゼロから1年3カ月というある程度の短期間で、高学 歴でもない普通の人が合格することができるという証明になりました。つまり、だれでも合格す る可能性があるのです。

自分の長所短所ときちんと向き合って苦手科目に重点を置いて頑張って ください!絶対にあきらめないでください!






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