日にちが合えばさん(男性・21歳)の合格体験記
はじめまして。現在大学3年の「日にちが合えば」と申します。私は大学1年の2月からTACで勉強し始め、 3年次の2010年度に合格を果たすことができました。この体験記はあくまで私個人の経験から感じたことであり、私以外の受験生の皆さますべてに当てはまるかどうかはわかりませんが、少しでもこれから公認会計士を目指す方、あるいは受験勉強中の方のご参考になれたら幸いです。
以下この体験記では、公認会計士を目指した理由から、科目ごとの細かなアドバイスやテクニック、最後に受験生の皆さんへのメッセージといった内容で執筆したいと思います。
1.公認会計士を目指した理由
私は自らの職業について、何かしらのプロとして生きていきたいと考え、会計の道を選びました。また、会計の勉強は全ての企業に必要不可欠なものであるため、行動範囲が広くなることに最大の魅力を感じました。すなわち、国内・国外問わず、様々なクライアントと出会うきっかけが多いこと、会計の知識を生かしてコンサル業務や税務業務に携わることが可能なこと、さらには独立の道も可能であること、このように自分の将来の幅を広げるある種の自由があるため、公認会計士を志しました。
2.各科目の学習方法
(1)財務会計論(計算)
計算については基本的に毎日答練を解いていました。私が短答式を受けていた時はTACの短答式答練を間違った箇所を中心に何回も解いていました。李先生の解説が非常に頭に残りやすく、質問にも丁寧に応えてくれたので、飛躍的に成績向上につながったと思います。(1日の学習時間:60〜90分)
(2)財務会計論(理論)
理論については、インプットに関してはTACの教材を中心に理解をして、重要な文言を覚えていました。アウトプットはTAC以外にも他校の答練を入手して解いてみたり、模試も受けてみたりして、自分の実力をチェックしていました。どんなに理解していても、それを表現する力と相手に理解してもらえるようにわかりやすく伝えることができなければ、結局合格できないと考えたからです。
よくホーム(自分の通っている予備校)では成績が良くて、アウェイ(他校)では非常に成績が悪いという方がいらっしゃると思います。私もTACで習った内容のみで他校の模試を受けた時は、TACで習っていないような論点が出ると、全く何を書いてよいか分からなくなるといったような状態でした。今振り返ってみると、そういう状態になるのはTACで勉強した内容でも何となくわかったつもりになっていて、本質を理解していないために少し表現を変えて出題されると手も足も出なかったのだと思います。
この話は、理論科目全般に言えることですが、特に財務会計の理論は会計法規集という原文があるため、コアになる表現はぶれないので、どの予備校で受けようともある一定の成績は収めることができるはずであるので、いろいろな予備校の問題にふれることで、本質を理解できているのかチェックすることをお勧めします。(1日の学習時間: 90分)
(2)管理会計論
計算と理論の比重は同じくらいで進めました。特に短答と論文で出題範囲が大きく異なる科目ではないので、TACの答練、アクセスを網羅的にやることで十分だと思います。この科目は、計算を解きながら、その理論的背景も意識すると成績の向上につながると思います。
本試験では短答、論文共に分量が多く、かつ出題意図がつかめない問題も多いので、取捨選択が大事になります。実際に私は平成22年度の論文式試験で、各大問の計算の後半部分は自信を持って白紙にしました。計算問題のうち、半分は白紙です。また理論についても、確かに何かしら書く必要があるとさんざん言われますが、書いてもピントがずれていれば全く点数に結びつかないと思い、できないものは悪あがきをしなかったので、白紙部分もいくつかありました。それよりも自分や他の受講生が確実に解いてくる問題に集中して時間を充てるほうがよっぽど良いと思います。
もちろん時間に余裕があるのであれば、何かしら書くほうが良いと思いますが、量が多いがゆえに費用対効果が小さい(つまり埋没問題や自分が見たことなく出題意図がわからない問題)のであれば、結果的に時間切れとしての白紙でも良いと思います。本試験でもこのスタンスで臨みましたが、かなりの高得点を取ることができました。このような取捨選択能力を身につけるためにも、答練やアクセスは毎回真剣に取り組むことが特に大切な寡黙なのかなと思っています。(1日の学習時間:60〜90分)
(3)監査論
苦手科目でしたので、足を引っ張らないように意識しながら取り組んでいました。
講義を聞いてある程度理解したら、テキストを何度も読んで、繰り返し答練を解いていました。私は常に苦手意識があったので無駄に時間をかけていましたが、この科目は本試験と専門学校の答練と一番乖離していると思うので、下手に手を広げず、本当に基本的なワードについての理解をまずはしっかり心がけ、あまり細かい内容については手を広げないほうが良いかもしれません。(1日の学習時間:90〜120分くらい)
(4)企業法
理論科目の中で一番好きな科目でした。今年の本試験では得点比率が66、全国で30番以内という成績を収めることができました。もちろんTACで扱った内容がそのまま出たこともありますが、結論に対して常に論理的でかつシンプルに書くことを意識できたので、その成果が出たのだと思います。テキストで理解を深め、論文問題集で典型問題を50パターンほどインプットし、それらの問題の解答の大筋を表現できるように近づければ、問題ないと思います。(1日の学習時間:90分)
(5)租税法
租税法は、わりと得意な科目でした。TACの木戸講師の講義は非常にわかりやすく、租税法を初めて学んだときに苦もなく吸収できました。この科目は何度も反復練習することが大事です。一度身につけてしまえば、意外と勉強量は少なくなります。
また、法人税が重要なのは言うまでもありませんが、所得税は理論との絡みで重要になりますし、消費税は毎年20点弱の配点がありますし、得意になれば常に満点を狙えます。ですので、法人、所得、消費を満遍なく取り組むのがよいと思います。(1日の学習時間:90分、最終的には2〜3日に60分)
(6)経営学
TACの桑原先生の講義はわかりやすく、実務的なお話しを聞けて楽しかったです。受験勉強としてはファイナンスの基本論点をしっかり身につけて、組織・戦略論はTACの答練やテキストはもちろん、他校の答練などにも薄く広く取り組んで、経営学の用語の意味を中心にチェックしていました。
監査論同様、ファイナンス以外は報われにくい性質がありまのでが、もし時間に余裕がなければ手を広げる必要はないとは思います。(学習時間:最終的には2日で60分、組織・戦略論等は電車の中での学習)
3.メッセージ
受験勉強をするにあたって、インプット以上にアウトプットも大事であることを意識すると良いと思います。短答は答えがある中からの選択になりますが、論文は白紙から自ら表現しなければなりません。そのような論文の試験対策として役立ったのは「一言で表現すると何か」ということを常に自分自身や友人に問うたことだったと思います。というのも、いかに質の良い教材を提供されたとしても、それを自らが答案で表現できなければ、結果的に合格には届かない恐れがあるからです。
また数ある科目の中で、短期合格を狙うならばすべての科目をバランスよく勉強することが大切です。毎回の答練を全力で取り組み、その結果をきちんとフィードバックして、常に自分の弱点を「偏差値」という客観的な数値をもとに把握し、勉強時間の配分をマネジメントできる人が短期で合格を勝ち取れるのではないかと私は思います。
最後に、この試験は長丁場の戦いになります。自分の勉強の進捗度を常に意識して計画的に取り組んでいくと同時に、適度に休息や遊びも取り入れながらモチベーションを維持していくのは本当に大変でした。しかし、合格という結果を勝ち得た今思うと、勉強で学んだこと以外にも、公認会計士受験生時代の経験は今後の自分の人生の大きな糧になると思っています。受験生時代にお世話になったTACの方々や、一緒に勉強してきた友達たちに、心から感謝申し上げるとともに、支えてくれた方々に合格という最高の恩返しができたことはほんとうにうれしかったです。
現在勉強中、あるいは受験を検討中という方へ、少しでもこの体験記を読んでいただいてご自身の今後の参考にしていただければ幸いです。