こばだいさん(男性・21歳)の合格体験記
私は大学1回生の時に簿記に魅入られ、公認会計士を志し、2010年度12月短答式、そして今年の論文式試験に合格しました。短答式、論文式、共に初受験で合格することができたので、そのノウハウ等を伝えられたらと考え、合格体験記を書くことにしました。
まず、受験生時代の各科目ごとの勉強法について書こうと思います。全般的にいえることは、短答式試験、論文式試験を問わず、相対試験であるということを忘れないことが大事です。短答式試験については絶対試験ではないかと思われている方もいるかも知れませんが、結局皆が取れるところを全て取れればボーダーは超えます。それにボーダー調整が入ることも考えられるので、皆が取れるところを確実に取るという姿勢で普段の答練を受けることが論文式、短答式問わず重要です。
簿記については、とにかく計算問題を解き、慣れることが重要だと思います。その際、たくさんの問題を1回ずつ解くよりも、重要論点の入った良問をなんどもとく事の方が、身につくことが多いと思います。そして、仕分けを覚える際にも、単に暗記するのではなく、その意味を考えておくことが重要です。単なる暗記では、連結や企業結合にて苦しむことになります。公開模試や、本試験では必ず見たことのない問題が出ますが、暗記偏重の勉強では対応できません。
管理会計については、普段から計算ミスを無くす事を心掛けましょう。本試験では、時間的に解いてはいけない問題も多く、そのため、必ず取らなければいけない問題を確実に取れるようにしておくことが大切です。これができるかできないかということは管理の合格点をもぎ取れるかどうかの分水嶺だと思います。管理の理論については、悩む人も多いかとは思いますが、自分の通っている予備校のテキストを信じましょう。管理の理論については、攻める科目ではなく、守りの科目であるため、皆ができる範囲を確実に書けるようにし、それ以外は捨ててもOKです。
企業法については、短答式試験の受験勉強をするうちから条文で勉強するようにしましょう。これをやっておくことで、条文を参照できる論文式試験にて恩恵を受けられます。試験委員は条文から問題を作成していると考えられるので、同じ文献から勉強をしておくというのは、本番に強くなる秘訣だと思います。論文式試験については、答案構成の巧拙が最もはっきりとでる科目なので、しっかりと答練を受け,書く練習をしておきましょう。また、答案構成のための下書きは必ず書きましょう。
監査論については、短答式試験に向けては、監査法規集ベースで問題ないでしょう。下手に知識をつけてもキリがないので、短答については9割を目指し、それ以上は必要ありません。論文式試験では、短答で身につけた知識を維持するのみで、追加的な知識を補充する必要はありません。しかし、論文式での監査論は、題意把握と答案へのアウトプットへが難しいです。
これに対応するためには、1:問題で問われていて、書かなければいけない部分にマーカーを引くこと、2:監査は暗記と言われがちですが、監査のロジックを自分なりに解釈して、ロジカルフロー化しておくこと、の2点です。
さらに、監査論については、LECの論文書き方講座の受講を強く勧めます。これは、LEC作問の問題を解き、サンプル答案を元試験委員の方がダメ出ししていくというもので、本試験ではどんな観点から採点が行われているかをイメージしやすいです。私は、予備校の採点とは全く異なる観点から採点が行われているというように感じ、この体験がその後の受験勉強や答案のアウトプット方法を大きく変えたと思います。私は大原で勉強していましたが、この講義だけはぜひ取ってみることをおすすめします。
租税法については、とにかく法人税、消費税の計算を固めましょう。安定的に法人税を取ることができるようになれば、大きく崩れることはないはずです。また、消費税については、今年の論文式試験のように必ず取らなければならないような簡単な問題が出た際にミスをすると、周囲に大きく差をつけられてします原因になります。
所得税については、理論がメインの出題傾向が続いていますが、理論を理解する上で、ある程度の計算の知識がある方が理解が容易になることは確かです。よって、全体の流れ、所得税の計算の特徴的な点、の2点については押さえておくべきでしょう。
財表については、「基礎論点のアウトプット精度を高めること」「概念フレームワークの理解」「国際会計基準」の3本柱で勉強していくべきでしょう。まず、 基礎論点のアウトプット精度を高めることとは、どこの予備校でもやっている、典型論点の解答精度を上げるということを意味します。こう言った問題は受験生であれば誰もが解答できる論点のはずですし、仮に論文式に出題された場合、高い精度で解答できるようにすべきでしょう。
次に、 「概念フレームワークの理解」ですが、有名な某講師曰く、これからの試験は概念フレームワークベースで問われるようですし、実際初見の論点ではこの概念フレームワークの考え方が多いに役立ちました。「国際会計基準」については、最近の短答式試験では従来の法規集ベースの出題のみならず、国際会計基準や時事問題についての出題も目立ってきています。こうした問題全てを、他の受講生が対策しているとも考えんびくいですが、サラッと見ておくだけでも、試験時に笑うことができるかもしれません。
経営学については、ファイナンス分野を徹底的にやりこみましょう。暗記ではなく、理解に務めるべきです。正直、経営についての理論は範囲が膨大であり、まともな対策をすることが困難です。そのため、対策がしっかりと出来るファイナンス分野で点を稼ぐことが本試験に強くなる秘訣だと感じます。理論についての悩みは多いと思いますが、受講している予備校のテキストを信じて、やれる範囲でやりましょう。
最後に、最近では就活が厳しいということ多く耳にされるかと思われますし、それは事実であると思います。僕は内定をいただいていますが、これも事前の準備を入念に行っていたからだと思います。試験勉強で忙しいのは分かりますが、受験に合格できても就職できなければ公認会計士になる事はできません。よって、このことも頭の片隅に入れて頂き、受験勉強を頑張ってください。