王太郎さん(男性・25歳)の合格体験記
1.自己紹介
はじめまして、王太郎と申します。
私は大原の10年目標コースで勉強を始め、09年12月短答、10年論文と一発で合格する事ができました。
論文式試験の成績は総合得点比率が60.67で、全て科目合格レベルでした。
その経験を基に、体験記を書かせて頂きます。
2.受験に当たっての心構え
私は大学卒業後、一般企業で2年ほど働き、その会社を退職して受験勉強を始めました。そのため当初から大きな危機感を持ち、絶対に一回で合格して速やかに社会復帰したい、と考えていました。
大原では運良く自分と同じ様な境遇の人や、同じくらいやる気のある人と知りあう事ができ、彼らと切磋琢磨し合って、効率良く勉強を進められました。
長い受験生活を乗り切るためには、何らかの方法でモチベーション維持を図る必要があります。私は、無職は嫌だという思いと、受験仲間との交流を通してモチベーションを維持していました。
3.予備校の印象
大原を選んだのは、既に会計士として働いている友人に予備校選びについて相談した所、大原を勧められたからです。また、定期代等に学生割引が使えるというのも決め手の一つでした。
実際入学して感じたのは、
@自習室が常に利用可能で、空調等の設備も良い
A講義や答練の日程が上手く組まれており、最短で合格に向かえる
B全体として賑やかで、受験仲間を作りやすい
という事です。
その他、テキストや講師にも大きな不満は感じず、非常に充実した受験ライフを送る事ができました。
4.好奇心
どの科目を勉強する上でも、好奇心が非常に重要だと思います。
好奇心とは、例えば財務会計の場合なら「この問題ではこういう処理をしたけども、一部の条件が変わったらこんな処理に変えなければならないのかな」と考える事であり、監査論なら例えば「この手続きを実際に監査現場でやるとしたら、どの時期にどんな書類を準備して、又どんな不正リスクに注意すれば良いのだろうか」と考える事です。
想像力と言い換えても良いです。
この試験にはテキストを暗記して解く問題とテキストの知識を応用して解く問題がありますが、前者は皆当たり前の様に正解してくるので、合否を分けるのは後者です。
そして、応用力をつけるためには、日頃からテキストや問題に無い事まであれこれ考えておくのが有効だと考えます。
5.科目別の勉強方法
財務会計論(計算)
試験全体で見ても非常に重要&コツをつかむまでに時間のかかる分野です。
なので、コツをつかむまではひたすら答練を解きまく必要があります。
理論の講義を受けてからは、理論とのリンクを意識して仕訳を切るように心掛けると良いと思います。
見慣れない取引が出た時は、@この取引の実態はこうだ→Aならば財務諸表はこうでなければならない→Bそれを仕訳に落とし込むとこうなる、という風に理論との整合性を意識して解く事で、意外と正解に辿り着けます。
財務会計論(理論)
テキスト・肢別・問題集・答練を何度も回して暗記しました。教材がとても良くできているので、これらを読み込むだけで合格に必要な力は十分つきます。
注記を要する取引等、短答用の細かい知識対策としては、独自のまとめノートの様なものを作って暗記すると良いと思います。会計法規集は重要ではありません。余裕があれば一回通読しておく、という程度で十分です。
管理会計論
計算部分は簿記と同様、非常に重要・かつコツをつかむまでに時間のかかる分野です。
夏の計算猛特訓の頃(8月下旬)までは、簿記と管理の計算に一日の全てを費やしても良いと思います。
論文答練や論文本試験では、単純な計算力に加えて、問題文の指示を漏れなく読み取って解答を作る読解力が求められます。下書きを工夫したり、問題文を処理済みの部分にマーカーで色を付ける等工夫して、読み取りミスを減らすと良いと思います。
理論部分は、テキスト・肢別・答練に加えて原価計算基準も何度か通読しておけば、合格レベルの力が付くと思います。
私はそれに加えて、答練で新しく出題された論述を一冊のノートに切り貼りして、まとめていました。
監査論
短答までに、テキスト・肢別・問題集がとても良くできているので、これらを繰り返し読み込むだけで十分だと思います。
私は法令基準集も一回通読しましたが、多少参考になったかな、という程度でした。又、監査法規集も買いましたが、全く使いませんでした。
企業法
まずはテキスト・肢別・問題集・答練の読み込みで基礎力を付けるのが有効です。しかし企業法の場合細かい規定の暗記が重要になってくるので、少数株主権の行使要件・組織再編等の厄介なテーマを自分で表にまとめてみる等、何らかの対策を練る必要があると思います。
論文対策にも、テキストの読み込みはかなり有効です。本試験や答練では、問題集からのみ出題されるという事はあり得ないからです。
問題集に載っていない論点が出題された時に、テキストの記載が記憶の端っこに残っていれば、他の受験生に大きく差をつける事ができます。
六法は短答までは必要ありません。論文では論述の際に条文を引用する必要があるので、主要な条文がどの辺りにあるかを押さえておくと良いと思います。
租税法
短答の出題科目では無いので、勉強の間に合っていない入門生(初受験の人)が多く、平均点が低くなりがちです。
逆に言えば費用対効果が高い科目なので、しっかり勉強する事をオススメします。
計算は問題集で基礎力をつけた後、答練をしっかり復習し、理論は大原の問題集を2〜3回読み込めば、かなりの高得点が狙えます。
経営学
租税法と同じ理由で、費用対効果が高い科目と言えます。
計算は問題集・答練をきっちり復習し、理論は論述はできずとも、穴埋めくらいは大体できる、という状態にしておけば、経営で落ちる事はありません。
プラスアルファを目指すならば、日経新聞を読む等して幅広く経営用語に触れて置くと良いと思います。理論では、「知ってれば点が取れるが知らなければどうしようもない」という知識型の問題がちょくちょく出題されるからです。
6.最後に
冒頭でも述べましたが、好奇心を持って自分で考えるのが大事です。ですので、
・分からないからと言って、教材や講師のせいにしない。
・分からないからと言って、すぐに講師に質問しに行かない。
・毎日の勉強に楽しさを見つけて取り組む
といった点に気を付けて頂くと良いかと思います。
受験生が抱く疑問点のほとんどは、講師に聞けば一発で分かる様なものばかりだと思います。予備校でも気軽に質問に来る様に勧めていますが、私は安易な質問はすべきでないと思います。
普段から疑問点を論理的に追及する癖を着ける事で、本試験で見慣れない問題にぶち当たっても、落ち着いて対処できると考えるからです。
また、自分が監査現場で使う事を想像しながら会計学や監査論を勉強していると、少しは楽しく勉強できると思います。
以上で私の体験記を終わらせて頂きます。
かなり偏った考え方をしているかもしれませんが、これから受ける方のご参考になれば幸いです。