シゲ ノゴローさん(男性・26歳)の合格体験記
はじめに
私は平成21年の2月末に簿記知識ゼロで公認会計士試験に向けた学習を開始しました。
短期合格を念頭に置いていましたので12月短答に照準を合わせたコースに申し込んだのですが、カリキュラムから3ヶ月遅れでのスタートとなってしまいました。
その為に基礎期はとにかくキャッチアップするだけで精一杯、真面目に勉強しなかった時期もあった為に論文受験まで終始余裕の無い状況でした。
私の受験結果は以下の通りです。
平成22年度第T回短答式試験合格(総合81%)
平成22年度論文式試験合格(総合得点比率64弱、20位未満順位)
諸事情により100%受験に専念できる状況ではありませんでしたので、学習時間は他の合格者の方と比較しても少ない方だと思います。1日4〜6時間を週5日というペースを基本に、直前期は週6 or 7日やっていました。ただし体調が優れなかったり気分が乗らなかったりでサボった事も多数・・・約1ヶ月間全く勉強しなかった空白期間も3回ほどありました(笑)
そんな状況でも合格できた要因は、集中力と計画立て及び効果的な学習方法にあったのではないかと思っています。
全ての方に私の体験が参考になるとは思えませんが、何かのキッカケにでもなればと思い執筆させて頂いています。
私が心掛けた事
まずは集中力に関してですが、これは私自身の集中力が他の方と比較して優れているという事ではありません。いかに集中できる環境を整えるか、も学習の一部だと思います。
勉強場所に関してはほぼ100%TACを利用しました。自宅での学習は直前期の深夜位でしょうか。また、集中する為の工夫として、外部からの雑音をシャットアウトする事は徹底していました。耳栓を使用される方も多いとは思いますが、私にはそれだけでは不十分でしたので耳栓の上からヘッドフォンをして音楽(クラシック、環境音、ホワイトノイズ等)を流していました。
耳栓の上からですので普通に聞こえる程度に音量調整するとかなりの爆音になり、よほど大きな雑音でなければ全く気付きません。ただし爆音で流す事で周りの方へのご迷惑になる可能性を考慮し、遮音性の高い密閉型のヘッドフォンを使用していました。
次に計画立てについてですが、おおまかには3本に分けて計画を立てていました。
本試験まで、1週間、1日という感じです。
注意していたことはとにかく期限を設定する事です。いつまでにこれを終わらせる、という期限を設けずに惰性で勉強してしまうと時間が掛かるだけでなくあまり身に付きません。
目標原価の設定の話ではありませんが、若干タイトなスケジュールを組む位でちょうど良いと思います。
上述した集中力とも関わる話なのですが、1日の計画を立てる際には休憩時間も事前に設定していました。
単純に「集中力が切れてきたから休憩する」という方法だと不必要に多くの休憩を取ってしまう事になるからです。
タバコが吸いたいけど、トイレに行きたいけど自分で決めた事だからコレが終わるまでは我慢しよう、という気持ちがモチベーションや集中力に繋がったと思います。
最後に学習方法についてですが、各科目の学習方法は後述するとしましてここではその前提にあった考え方について言及したいと思います。
基本コンセプトは「とにかく穴を作らないこと」です。
とにかくテキスト重視で学習をし、基本的に答練は受講直後の復習以外は殆ど使っていません。
ご周知の通り答練はアウトプット教材なので、そもそもインプットがきちんと出来ていなければその効果が薄れてしまうと思ったからです。自分の知識を問題に合わせて出力する練習な訳なので、そもそも知識が無ければ意味が無い・・・と考えました。
加えてその状態で答練中心の学習をしてしまうと、自ずと答練がインプット教材になってしまう訳です。
いくらTACの教材が優れていてもたかが数回の答練で全論点をカバーするのは不可能です。
という事は答練だけの学習だとどこかで必ず穴が出てしまいます。
その結果「答練には出ていないけど、テキストには載ってる問題」に対応出来なくなってしまいます。
逆に言うとこの問題に対処できるかどうか、が合否を分けると言っても過言ではないと思います、論文では特にそうですね。
そしてもうひとつ、暗記を意識した学習を心がけました。
これは勿論理解を軽視していた訳ではありません。
しかし理解を重視しすぎるとどうしても暗記が疎かになってしまいます。
逆に暗記を意識しておけば、暗記が進むにつれて理解も深まっていきます。
「暗記があるから理解が進む、理解してるから暗記が定着する」というのが真実で、両者は表裏一体のものだと思います。そのため、どちらかに偏るのではなく両者のバランスを考えた学習をする事が、結果的に効果的な学習となるのではないかと思います。
各科目の学習方法
財務会計論 計算
テキストの例題及びトレーニングを重点的にやり、アクセスや答練は殆ど使っていません。
短答はこれで十分対応できますし、論文も理論の事を考えればそれほど時間は掛けられませんので、基本的な問題を素早く正確に解く事が重要だと思います。
アクセスや答練は総合問題特有の数字のパズルや、問題形式への慣れに使う程度でした。
財務会計論 理論
テキストの読み込みと巻末の確認問題がメインです。
これは理論科目全般に言える事ですが、読む際には漠然と読むのではなく他の論点との繋がりや異なる視点から見たらどうなるか(ex 資産負債と収益費用)を意識していました。
典型論点や重要論点にかんしては、テキストの文章をほぼ丸暗記しました。
暗記吐出しではなく理解した内容を元に論述させるタイプの問題に関しては、答練などを用いて練習しました。
管理会計論
計算はトレーニング、理論はテキストの読み込みをしました。
計算に関しては財務会計以上に総合問題への慣れが必要ですし理論との結び付きも強いので、両者への対策として直前期にはアクセスや答練を使いました。
理論は論述の視点(ex 管理可能性や責任の所在)を意識すると頭に入りやすいと思います。
監査論
この科目はテキストの読み込み以外は殆どやっていません。
理解力と問題文に合わせたアウトプットをする能力が求められる科目ですので、とにかく体系的な理解を重視しました。
定義や監査報告の文言等の暗記は必須です。
本試験では配布される条文集は全く使いませんでした。
企業法
一番の苦手科目でした。
テキストの読み込みに加えて、典型論点や重要判例の論証は暗記しました。
また問題形式(論点型、比較型etc)毎の答案構成の大枠についても暗記しておきました。
本試験では第一問はほぼ暗記のみで対応してそれなりの得点を確保し、第二問は答案構成の大枠を元に広く浅く展開して致命傷となるのをを防いだ、という感じでした。
租税法
計算はテキスト例題とトレーニング、消費税のみアクセスや答練も使いました。
所得税は理論の絡む論点のみに絞り、それ以上は手を広げませんでした。
理論はテキストの丸暗記です。
手薄になっている方が多いので、分量は多いですがキッチリやれば武器にし易い科目だと思います。
本試験では租税法の得点比率が最も高かったです。
統計学
まずはテキストやレジュメで公式を押さえ、問題集や答練で反復練習しました。 暗記と練習量がモノを言う科目だと思います。
終わりに
以上が私の体験記になります。
勿論これらの考え方や学習方法が最初から出来ていた訳ではありません。
非効率で意味の無いような学習も多々しましたし、答練では思ったほどの成績が出ずに逃げたくなった事も何度もありました。
大事なのは「合格したい気持ち」「合格の為にどれだけの残り時間で何をやらなければいけないかの分析」「分析結果に基づいた計画と実行」だったと思います。
長文かつ駄文となってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
皆様の合格を心より願っています。