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榊原慎太郎さん(男性・31歳)の合格体験記

はじめに

私は受験を思い立ってから合格までに3年を要しました。 直前の模試の結果が合格圏外だったことを考えれば、3年で済んだのは奇跡的だったと思います。また、最終結果についても約1500名の合格者中1400番台という、まさにぎりぎり滑り込んだという感じでした。

勉強期間半年とか1年とか圧倒的パフォーマンスを発揮して合格する人もいる中で、私のように運も味方に付けてぎりぎりで合格する例もある、ということを知ってもらいたいと思い、合格体験記を記すことにしました。特に30代以上の受験生への励みになれば幸いと存じます。

独学から予備校受講へ

私は09年5月から10年5月まで3回連続で短答不合格でした(1回目はお試し)。それまでは独学で勉強していたのですが、3回目の不合格でこのままではダメだ、との思いが強まり、LEC短答論文合格コースを受講しました。結果的にこの選択が成功しましたが、受験生にとって予備校を利用するか独学にするかは重要な選択だと思います。

私の経験からすると、独学で合格するには予備校を利用するよりもはるかに大きなメリットがなければ難しいと思います。例えば、予備校に行かなくてもアドバイスをしてくれる人が身近にいるなどのことが挙げられます。受講費用の節約以上のメリットが見出せない場合には、独学はおススメしません。

次にLECを選んだ理由ですが、単純に受講料で選びました。どこを選んでも独学よりはマシだろうという思いがありましたし、私の場合は通信だったため、アクセスのし易さとか施設の使い易さなどを考慮する必要がなかったからです。このように私はどの予備校でも大差ないという立場ですが、意見の分かれるところかと思います。各予備校で特色があるのは事実でしょうから、これから受講しようという方は受講相談をするなどして、慎重に検討した方がいいかもしれません。

講座が始まってからは基本的にそのスケジュールに従いました。 答練も期日までに提出し、採点を受けました。 これは直前期まで一貫していました。 教材も会計法規集、六法、過去問を自ら用意したくらいで、あとはすべて予備校提供の教材を使用しました。

講義もすべて視聴しました。 講義は自分の態度がいい加減であっても、受けただけで勉強した気になり易いという点で注意が必要です。 また、すべてを受けることが必ずしも必要とは思いませんので、臨機応変にやって頂けたらと思います。

逆に1度だけでなく、2度3度聴くのも有りだと思います。 私の場合は同じ講義を2度聴くことはしませんでしたが、同じ内容だけど講師が違うといパターンで受けるということはありました。 LECは科目によっては2人の講師の講義を視聴することができます。

10年12月短答式試験

短答式の4科目(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法)については勉強法としてはどれも同じでした。 LECの「1問1答問題集」、答練・模試及び過去問を繰り返しました。 ただし、財務会計論だけは計算力強化のため税理士の簿記論講座をLECで取りました。

10年5月の短答不合格から夏までの間はスケジュールにも余裕があったため、しばらく簿記論に集中していました。 税理士の簿記論は計算オンリーで2時間の試験なのでかなりハードです。 しかし、そのおかげで計算スピードは飛躍的に高まったと思います。

10年5月から12月短答式試験までの間に約1100時間勉強しましたが、そのうち半分を財務会計論に使っています。 そして管理会計論に25%、残りの25%を監査論と企業法で分け合ったという時間配分でした。 論文式の勉強は一切やりませんでした。 12月短答で合格できれば十分論文式の準備ができるという思惑があったからですが、幸いそのとおりになりました。

現行の試験制度からするとやはり12月の短答式で合格する方が有利だと思います。 年が明けてからは論文式の勉強も進めないと間に合わないと思います。 したがって、12月までに一旦仕上げ切り、万一不合格だったとしても5月には最小限の努力で対応できるようにしておくのがいいと思います。

本番における戦略についてですが、最初に実施される企業法で8割以上の正解がほしいところです。 全体としては7割強の得点率で合格できますが、おそらく合格者のほとんどは企業法でそれ以上の点を取っていると思います。 時間が足りなくなる可能性のない唯一の科目ですし、模試や過去問で9割くらい取れる実力を付けて臨みたいところです。

管理会計論・監査論については2科目同時の実施になりますので時間配分が重要です。 おそらく先に監査論から始める人が多いと思います。 監査論を先に終わらせて、なるべく多くの時間を管理会計論に振り分けるというのがスタンダードな作戦かと思います。 したがって監査論にかける時間は短ければ短いほどよいですが、30分を切るのは困難かと思います。

私の場合はだいたい40分でした。 40分を超えると(もうヤバい)という気持ちになりました。 そうなるともうすべての選択肢を読むことはせず、解答の組み合わせから消去法で選んでいきました。

監査論が済んで管理会計論に移ってからは、まず問題を一通り見ます。 そのうち難しそう、または、時間がかかりそうという問題は手をつけずに当てずっぽうでマークしてしまいます。 7割取れればいいという考えのもと、3割は最初から捨てるという作戦です。 ただし理論問題はすべて見ると思いますし、最終的に手つかずの問題を3問程度にできれば準備としては上々かと思います。

本番と同じように管理会計論、監査論をセットで勉強する練習は必須だと思います。 財務会計論は取れるところを取れ、ということに尽きますが、例年2問ある総合問題のうち、それぞれ半分ずつは正解しておくのが望ましいと思います。特に企業結合・事業分離の出題頻度は高いのでよく練習しておくといいと思います。

11年8月論文式試験

論文式試験対策の勉強は10年12月短答式試験終了後から開始しました。 本番までの勉強時間は約1500時間でした。 それでは各科目、試験の実施された順に振り返ることにします。

監査論

予備校のスケジュール上、2月からの開始でした。 それで大丈夫なのかしら、という不安を抱きながら講義等を聴いていましたが、やはり最初の答練で偏差値46という不本意な成績になりました。 その後も全10回行われた答練のうち、1度も偏差値50以上になることがなかったため、直前期にはこの科目にかなりの重点を置くことになりました。

ただし、テキストでインプットし、答練でアウトプットする、という勉強法自体は他の受験生とほとんど変わらないと思います。 私は間隔が空いてしまいましたが、空かないように勉強スケジュールを組んだ方がいいと思います。 勉強時間の構成比は12%でした。

租税法

12月の短答式試験が終わった直後にまず重点的に取組んだのが租税法でした。 講義と並行して計算問題集を回しました。 かなり猛烈な勢いで取組んだため、答練期には得意科目になっていました。 監査論とは対照的に偏差値52を下回ることはほとんどなく、科目合格水準になることもしばしばありました。

進める順序としては計算から理論でいいと思います。 予備校のスケジュールはそういうふうにできていますので、それに従えば問題ないです。 勉強時間の構成比は18%でした。

会計額

勉強の中心は理論でした。 テキスト(理論問題集)を回しながら、答練でアウトプットしました。 これは管理会計も財務会計も同様です。 勉強時間の構成比は管理会計17%、財務会計27%でした。

企業法

企業法も他の科目と大きく変わるところはありません。 テキストでインプットして、答練でアウトプットしました。 論証例の暗記はしませんでした。 結果的に暗記してしまったフレーズはあると思いますが、暗記しようと思って勉強したことはありません。

答練も最初のうちは、どう書いたらいいかわからなかったり、時間が足りなくなったりなどしましたが、5回目辺りから少なくとも自分の書きたいことは書けるようになりました。 勉強時間の構成比は12%でした。

選択科目

私は経営学を選択しました。 この科目も租税法同様、最初に重点的に取組みました。 特に第2問(ファイナンス)を固めることが重要だと思います。 第1問は範囲があってないようなもの、という感じがするので、安定的に得点するのは困難かと思われます。

また、第1問対策は直前でもある程度できると思いますから、しばらくは第2問対策に重点を置くべきかと思います。 勉強時間の構成比は13%でした。

直前期から本番にかけて

全科目共通して、模試は各社利用しました。 具体的にはTAC、大原、AXL、LEC、クレアールです。 2回実施されたものについては2回とも受けました。 論文式についてはいろいろな傾向の問題に触れておくことが望ましいと思いましたし、それぞれの予備校で共通する問題があれば、それはかなり重要性が高いということもわかるからです。

以上、私はかなり多くの模試を受けましたが、このうち今年の合格水準(52.5)に達したのは1度だけでした。 これでは難しいだろうな、と私自身考えていましたが、それでも本番では独特の緊張感もあるし、まだ付け入る隙はあるとも考えていました。 ですから本番まで淡々と自分の実力を出し切ることに集中して準備をしました。 負けて元々、勝てばラッキー、そんな心境で臨みました。

そういう点で私はそれほどのプレッシャーを感じずに受験できたのかもしれません。 仮に私が模試で上位だったとしたら、そのポジションをキープしなければならない、というプレッシャーを感じたに違いありません。 そう考えるとどちらがいいのかわかりません。 模試で上位になれば自信が付く一方で、プレッシャーもまたかなりなものになるだろうと思います。 この試験、最後にものをいうのはメンタルなのかもしれません。

お試し受験について

ここで、準備が不十分な段階での受験、いわゆるお試し受験について私の考えを述べます。 私も1度やりましたが、やる必要なかったな、というのが感想です。 受験料も高いですし、お試しするなら予備校の模試で十分だと思います。

終わりに

冒頭に記したとおり私は合格までに3年を要しました。 このスパンを前提にするなら、まず短答合格、次に論文合格、という考え方でいいと思います。 しかし、それより短いスパンでの合格を視野に入れるならば両試験をリンクさせた勉強が必要になると思います。

また、私は論文式試験から遡って2年間は一度も風邪をひきませんでした。体調管理もスケジュールを安定してこなすために重要なことだと思います。私はジョギングをしていましたが、定期的に体を動かすことも準備の一部として考えてもいいかもしれません。

私のブログ「榊原慎太郎勉強日誌」にもこれまでの勉強について書いてございますのでよかったらご覧になってください。皆様の受験勉強の一助となれば幸いです。


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