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社会人受験生Naoさん(男性・25歳)の合格体験記

 2008年公認会計士試験を受験されたみなさん、お疲れ様でした。
合格された方々はおめでとうございます、そうでない方々も今年の努力は決して無駄にはならないはずですので、頑張って下さい。

 私は、本年度社会人として受験し、何とか合格できました。そこで、働きながら公認会計士試験を突破しようと考えている方に元気を与えられるように、私が今回の受験で経験したことを体験記としてここに記します。お時間、ご興味のある方は一読して頂ければ幸いです。

1.はじめに。

 まずはじめに、簡単に自分の自己紹介をしておきます。

 最初に公認会計士試験を目指したのは、大学時代の会計学を専攻しており、その流れで会計に興味を持ち、友人の紹介もありこの試験の合格を目指していました。当時は2005年の試験に合格するつもりで勉強していたのですが、少し違う事に一生懸命になってしまい、ダブルスクールで勉強してはいましたが、実際にはほとんど専門学校には顔も出さずに不合格となってしまいました。

 そして、その後就職したのですが、やはり社会に出たら資格を持っている事が有利に働くものと実感し、2006年の5月より勉強を再開し、現在に至ります。

2.公認会計士試験突破に対する総論。

 今回の受験で感じたことは、この試験は努力すれば必ず報われるということです。社会人兼受験生は、努力している間は非常に辛く、厳しい日々が続きますが、最後までやり遂げれば必ず合格というリターンが返ってきます。

 では、以下では試験全体に対する心構えや、意識していたことを端的に述べます。

 まず、試験に合格するには、ご承知の通り短答式試験→論文式試験を突破する必要があります。合格率は今年の場合短答式試験は20%強、短答式試験受験者等の論文式試験合格率は会計士補の方々を控除すると40%強あります。そこで、私は常々短答式試験を突破してしまえば、論文式試験はよほどの失敗をしない限り何とか突破できるはずだと言い聞かせて勉強していました。

 ここで、私が最も重要だと思うのは精神力で、自分は必ず合格できる、落ちるはずがない、という強い信念を持つことで、勉強を継続できるし、本番でも普段通りの実力を発揮できるものと考えます。

 次に、勉強に対する姿勢については、苦手科目をとにかく作らない事を念頭に置いていました。短答式試験及び論文式試験ともに一科目につき40%未満の得点をとってしまったら、それだけで不合格になるからです。私は、ある特定の科目に勉強が偏ってしまった場合には、自ずと他のある科目に対する勉強時間が減少して、勉強不足になり、それがその科目を苦手だと認識してしまうのではないかと考えていました。

 よって、自分と相性のいい科目、そうでない科目はあると思いますが、全科目を均等に(もちろん、各科目に比重はありますが・・・)、過不足なく勉強することを意識する事が重要だと思います。

 最後に、この試験は他人ができる所を確実に解ければ絶対に合格できます。言い換えれば、受験生レベルで解く事が難しい応用的な問題は多くの人が解けないので、解けるようになることに越したことはありませんが、短期間で試験を突破するためには基本的な論点を重視して勉強すべきであると思います。

3.各時期の勉強方法について。

 私は、前述の通り、2008年3月末までは社会人として働きながら、4月以降は仕事を辞めて勉強していました。もちろん働きながら通学することは困難なため、大原簿記専門学校のDVD通信にて勉強しました。受験勉強仲間もいませんし、講師の方々に質問した事もありません。

 以下は、大原のカリキュラムを前提として、各時期の勉強方法を簡単に記します。

《基礎期・応用期》-2007年5月〜2008年3月末-

 この時期は、仕事をしながらの勉強になるため、一日の勉強時間を最大限確保できたとしても5-6時間がせいぜいでした。実際には昼間の1時間の休憩の間と、夜10時以降の5時間程度です。睡眠時間も大事ですので4.5時間は寝るようにしていました。日曜日は一日勉強できるとしても、この時期には日々送られてくるDVD講義及び各種答練をこなすのが精一杯といった感じでした。

 この時期には、理論科目の講義を聴くときは集中し、その日の内になるべくその日に習った知識は習得するように心がけます。計算科目の場合には、講義を受けながら実際に答練問題を解いて、わからない論点だけ聴くというスタンスで十分です。計算科目の場合、全ての講義及び論点についての解説を聞くのは時間の無駄です。

《短答式試験受験期》-2008年4月〜5月末-

 この時期は非常に大事です。上述の通り、これを突破しない事には論文式試験すら受験できないからです。

 私は仕事を辞めたので、一日中勉強の時間を取る事ができたので(と言っても、せいぜい集中力が持つのは10時間まででしたが・・・)、短答式試験の5科目にそれぞれ1〜2時間ずつかけて勉強しました。もちろん、この時期も容赦なく講義DVDや答練が送られてくるのでそれは必ずこなします。

 計算科目はとにかく答練の総合問題を解き回し、理論科目は一問一答式の問題集(大原では肢別チェック)を5-6回転させました。
 試験直前の1週間は、短答式試験の答練が6回分+公開模試が1回の計7回分あったので、それを一日一回模擬試験のつもりで全部解きました。ちなみに、この時期は租税法、経営学は送られてくるもの以外には手をつけませんでした。 

 この時点で、各問題、一度見たことのある問題とはいえ450以上の得点ができるようになっていました。

 時間の無い方は、各答練の正答率50%以上の問題を確実に解けるようにしておけば十分合格レベルに達すると思います。
 この甲斐あってか、短答式試験は407点(財務会計論:162点、管理会計論:90点、監査論:80点、企業法:75点)で合格することができました。

《論文式試験受験期》-2008年6月以降-

 この時期は、とにかく論文式試験の7科目の全てを均等に学習しました。上述の通り、苦手科目を作らないためです。

 計算科目は、租税法も含め答練の計算問題をひたすら一日1問解き、理論科目はテキストを3-4回転させます。わたしの場合は一日各科目のテキストを20-30ページずつ読んでいました。試験直前の2週間程度は、テキストに加えて論文答練に目を通しました。実際には、これで十分に一括合格レベルに達することができると思います。

 私の場合、論文式試験は苦手科目を作らないことで合格可能性が高くなると考えていました。実際に試験前の計算では、租税法及び企業法がわりと自分に相性がよかったため、この二つで他人よりもいい答案を書ければ、残りの科目は全受験生の平均レベルの答案で十分に合格できると確信していました。

 本番は、いくら問題が難しかったり、糞問でも、全受験生の平均を取ればいいので、諦めずに食らいつくことが重要です。 

4.各科目の勉強方法について。(各論)

《財務会計論(簿記)》

  簿記については、出題される範囲は非常に幅広く、特に短答式試験ではその広い範囲から万遍なく出題されるため、全ての分野につき理解することが求められます。

 しかし、簿記は理論的な背景はとりあえず無視し、計算技法を身に付けるだけでいいと考えれば、勉強方法はただ一つ、繰り返し、繰り返し問題を解くという方法になります。

 この点、簿記の勉強については、特に短答式試験用、論文式試験用と区別して勉強する必要はなく、一日最低大問1問を制限時間内に解くという方法しかないと思われます。
 短答式試験では各論点が一問ずつ出題され、論文式試験では大問の中に各論点が積み重なって出題されるという形なので、とにかく幅広い論点の計算方法を習得するために練習あるのみです。
 個別論点、構造論点、連結会計等幅は広いですが、これらは練習することで問題は解けるようになります。
 簿記の攻略方法は、とにかく解き方を覚えることです。どんな論点も一度その解き方を覚えてしまえば、大体の問題は同じ解き方で解けます。

 ちなみに、私は論文式試験の本試験では簿記の部分はかなり失敗しました。おそらく平均的な受験生であれば6-7割は得点できる問題でしたが、私はミスをしてしまって3-4割しかできませんでした。

 しかし、解き方がわからないものはほとんどなく、単純なミスによるものでしたので、簿記の勉強はこの姿勢で臨めば他の受験生には負けないと思います。

《財務会計論(財務諸表論)》

  財務諸表論は、簿記の処理の背景にある理論を学ぶ科目であり、最近の本試験を見ると非常に重要な位置を占めていると思われます。本来ならば、簿記の処理とリンクさせて覚えるのがベストだと思いますが、何分そのような時間がなかったため、財務会計論の勉強については各分野の典型論点の暗記に徹しました。

 大原の場合には、テキストにほぼすべて必要な情報が掲載されていますので、テキストをひたすら回すだけでOKです。意見書の内容など一部はテキストの空欄に写してなるべくテキスト一本で勉強できるように工夫するといいでしょう。

 本試験でも難解なものは一部出題されましたが、それは書ける必要はなく、テキストに載っている論点を書ければ十分合格できます。

《管理会計論》

 この科目も基本的には計算重視で臨むべきです。答練の解き回しを基本に空いた時間で理論を学習するというスタンスです。

 管理会計論に限って言えば、理論はハイテク会計を中心に非常に難解な部分が多いです。しかし、完璧に書ける必要はなく、根底にある理論をざっと書けるようにしておけば、計算でミスをしない限り十分です。

 あと、管理会計論には非常に危険な科目で、難しい問題にはまると他の簡単な問題を解く時間がなくなってしまうという事が非常に怖い科目です。各種答練を受けて、解くべき問題か捨てる問題かを見切る力が養えればいいのではないかと考えます。私は、本試験では問題を見る能力に欠けていたため、結構失敗しました。

《監査論》

 この科目は比較的ボリュームという点では少ない科目であるため、テキストを何回かまわして理解を深めておけば他の受験生には負けないレベルになります。

 あと理解の必要はないのですが、委員会基準報告書等に目を通して、どこに何が書いてあるのかを一度見ておくと、基準を参照しながら論述する問題の場合、それに気づく事ができるし、探す手間も省けます。今年の試験では、この点が勝負を分けたかもしれません。

 本試験で聞かれることは、基本的なことが中心なので、テキストを越えて勉強する必要はないです。しかし、体系的な理解をしておく必要があるとは思います。そのために、本試験では抽象的な聞き方をしてきて何を書けばいいのか迷う事が多くなります。

 監査論では体系的な流れを記憶する勉強方法がいいと思われます。詳細な記憶はいりません、ほとんど法規集に載っています。勝負を分けるのは体系的な理解を前提にいかに論述するかに尽きます。

《租税法》

 この科目のボリュームは半端ないくらい多いですが、時間の無い方は法人税→消費税→所得税と勉強するのがよいのではないでしょうか?

 法人税法の学習では、税務調整項目の計算方法を一つ一つ潰して行くとともに、なぜそのような調整がなされるのかを学習するといいでしょう。法人税法の理論はなぜそのような調整が行われるのかを聞かれることが多いからです。法人税法に関しては、勉強すればした分だけ点数として返ってくるので個人的には得意科目にして頂きたいです。

 所得税に関しては、深くやる必要は全くなく、各種所得の計算方法を軽く学習し、所得税特有の理論(10個くらいの論点)を暗記するだけで十分です。

 消費税法に関しても、基本的な計算方法を学習し、理論は時間があればやる程度で十分です。消費税法も課税か非課税かがわかればほとんど点数につながるので基本的な計算は確実にできるように身につけます。

 租税法は個人的には非常に得点に結びつきやすい科目だと思うのでこれが得意科目にできれば合格もぐっと近づくと思います。

《企業法》

  この科目は唯一短答式試験用の勉強が必要な科目と言っていいでしょう。短答式試験では幅広い条文の知識が聞かれますので、なるべく細かい所まで概観を学習する必要があります。しかし、理解した条文の数だけ点数も増えるので頑張って勉強すべきです。

  論文式試験については、典型論点の暗記だけで事足ります。大原のテキストには45個くらいの論点が掲載されていましたので、私の場合は一日3論点程度を読むだけにしておりました。本試験でも基本的な論点が出題されるので、その制度の趣旨、条文がどこにあるのかを勉強する程度で十分です。もし短縮できるようなら企業法で余った時間は、他の科目に回してもいいくらいです。

 ただし、本番ではただ知識を並べるのではなく、論述構成が非常に重要だと思われます。作文能力を高めておきましょう。

《経営学》

 この科目は組織論・戦略論とファイナンス部分で勉強の仕方が異なります。

 私の場合には、組織論・戦略論は数多くの論点があるが、テキストの用語の暗記及び理論の概観を理解するにとどめました。しかし、本試験では報われない問題も出題されるので、知っている用語を多く増やし、知っている論点の論述は何かしら的外れなことを書かなければそれで十分と思います。知らない論点の場合でも、経営学の場合には何かしら書く事が大事だと思いますので、知識を総動員してどんな問題でもらいいことを書けるように知識の積み重ねを重視します。

 ファイナンスの部分はいわゆる計算問題が多いので、計算の仕方をマスターすることです。論点はさほど多くし難解なものもあまりないので短答式試験後からでも十分間に合います。ファイナンスの理論は典型的な論点を記憶するといいでしょう。

 経営学の場合、試験委員の色が特に出やすいものであるため、予備校の試験委員対策は受講すべきだと思います。今年に限っていえばあまり意味はなかったのですが・・・。

5.おわりに

 以上、私が今年経験した事を書いてきましたが、本当にこの程度の勉強量で十分なのかと疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
 しかし、上記の事は事実であり、実際に本年度の論文式試験には合格できました。簡単に論文式試験の感覚を書いておきます。

  監査論→第一問の問1は17年改訂の全文の趣旨を論述する問題だったようですが、リスクアプローチの観点から書きました。
      問2の特別な検討を要するリスクについては、具体的なあてはめをしたのみ。
      第二問は大きな論点ずれはないと思います。
      自己採点の感覚では55点〜60点程度だと思います。

  租税法→理論は法人税法及び所得税法について大きな論点ずれなし。
      計算は法人税法は8割、役員給与は完答、消費税法も1つ間違いのみ。
      自己採点の感覚では75〜80点程度だと思います。

  管理会計→第一問CVPは計算半分、理論はまずまず。ABCは計算1問のみ、理論はまずまず。
       第二問原価企画は、計算は未達の部分間違い、理論白紙。経済性計算は用語と最後の理論まずまずのみ。計算白紙。
       自己採点の感覚では、35〜40点程度と思います。

  財務会計論→第三問S/Sの計算は4/12。理論はまずまず。
        第四問は金券の問題は適当に書いただけですが、後の問題はだいたいOK。
        第五問は計算問題は5/12。理論は最後の税効果以外はまずまず。
        自己採点の感覚では95〜100点程度だと思います。

  企業法→第一問は、特に論点ズレなし。
      第二問は、問一で取締役会設置会社を前提に書いてしまった程度。
      自己採点の感覚では60〜65点だと思います。

  経営学→第一問は製造業のデメリット2つ、自己実現、公平、アンダーマイニング効果正解。
      第二問は問一は穴埋め4つとCAPMの式、問二はレバレッジ関係ミス、問三は最初の穴埋め8個のみ正解。
      自己採点の感覚では40〜45点程度だと思います。

 以上のように、論文式試験では他の受験生ができる所を落とさない事が大事ですし、多少のミスはOKだと思います。
 自分の勉強方法を信じて、最後まで辿りつく事が最も大事だと思います。最後まで諦めずに勉強できれば必ず合格できるはずです。

 以上、長々と書かせて頂きましたが、ご覧になった方々には心よりお礼を申し上げます。

 最後に、私の経験がたくさんの社会人受験生の方々の力になることを祈っております。



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